あかいろ
「赤ってさ、嫌な色だよね。
綺麗な色だとは思うよ。
誤解のないように言うけれど、
嫌ってるわけじゃあないんだ。ただ。
不気味な色だよね。映えすぎる。
綺麗過ぎるんだ、赤色は。
他の原色がくすんで見えてしまうほどに。
どうしてだろうねえ。どうしてだろう。
ああでも僕はこうも思うんだよ。
人間はね、血が赤いでしょう。
青色の動物も居るけれど。人間の血は、赤い。
中身を自覚させられて厭なのでしょう。
きっと人間の血が青色なら、
青色に同じ感想を抱いていたと僕は考える。
踊らされているよねえ完全に。
逃れられない刷り込みがあって。
勝てない本能があって。
ほんとうにただ踊らされている。
嫌になんてなりたくないのにね。
守るために嫌悪を持たなければ、
きっと赤色に取り殺されるんだ。
ほんとうに、嫌な色だよ。
わかりやすく危険だし、わかりやすく傲慢だ」
「ところで君はさ、愛って何色だと思う?」
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