瞬きのたびに涙で覆われる眼球を気味悪く感じてしまった私は
いつしか瞬きをやめにしてそうして逆らってみることで
眼科にも通えなくなったのでした。
右を見ても左を見ても上を見ても下を見ても
渇いた眼球が動くたびにピキピキと鳴りますので
その様を日記帳に綴ろうかと思い至りまして
近くの書店などに向かって日記帳のようなものを
手に取り小銭で所有物のひとつとしての生き方を与え、
しかししかし私は字を書くのが大層下手では御座いまして、
しかしながら指を使って線を引くのはいささか愉しくて堪りませんでした。
渇き、渇き、水道水で癒せないのは
いったい何故なのかと渇かしてしばらく経ってから考え始めてはみたものの
博識でない私では水道水にも分泌液にもさほど差はないように思えてしまって
致し方ないので考えるのをやめてしまった方が良かったのかもしれませんが
如何せん脳味噌は起きたままですので考えて考えて考えて考えて取り敢えず
水道水は飲んで胃におさめたのち排出する為に使うことにしたのでした。
このまま渇かしつづければもしや眼球は萎縮してぽとりといつぞや落ちてしまうのでしょうか、
そうなっても一向に構いませんが落ちた後の窪みはいったいどう致しましょう穴はきっと埋めなくてはなりませんよね
空いたままでは侵食が始まりますが私は侵食を行う気は毛頭御座いません。
いっそ小人の住処に如何だろうかもしや思うより住み良いのでは?
人肌ですし小人の小人なら場所も充分でしょうし
おおよそ脅威も無いかと考えられます
何故なら眼球を潤す為の瞬きというまぶたの動きは
眼球が落ちることによって何も効力が失くなりますから。


0コメント

  • 1000 / 1000