嘘の話
かすかに聴こえていた君の嘘を
ついに聴き漏らすようになってしまった
逃げ道をつくった優しさは
自己満足と
自虐精神と
結果的には
舌打ちしたいほどの苛立ちを覚える
最悪の術だったかもしれない
刺された杭から抜けられないことが
こんなにも痛々しく苦痛とは
向かい風のせいにしても良いだろうか
言葉の差分で押し付けられる硝子の破片は
跡が残るほど深く割くには充分で
塗り、潰す側
下地はなるべく白く明るく
盗んだそばから染まっていくのも
下地は、変わらず、白く明るく
量産型の呼吸と共に
刷り込みの条件反射で「真新しく」
吸って、吐いて
そのまま混沌を虜にして
眺める先はより深く
深く、深く、潜りたい
抜け出せるいまならいまの間に
取り残された嘘は飲まずに
今度こそ、今度こそ
考察を亡き者にしない努力を
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