痛み分け
痛み分けを望むなら、
僕の言葉はきっと綺麗では無いと思う。
懐に抱えたまま未だに出番のないナイフを、
どうかこのまま使うことのないまま
錆びて死んで欲しい、と願いつつ
手元から追い出せないでいるのは、
いつかの不安を先に抱えて未来より過去、
過去よりさらにその過去を、
頭にこびりつかせたまま剥がさない僕の
習性のせいだろうと知っているのに、
苦痛は避けたいからとなるべく
近いものを欲している。
敵わない、敵わない、伝う先にも敵わなくて、
届かない。
君のことは嫌いだよ。
まとまりのない水晶体が写しているのは
輪郭ですらないことも見ていて判る、
それを自分に擬えて悦に浸っているのも
造った涙で遊びたがるのも、全部、全部、
見ていて判る。
強いものはただ強いだけで特別扱いだ。
ことわりまとめてひっくり返して、
傲慢さを散らかしてしまいたい。
背徳だ。普及された倫理だ。
痛みはいつだって一方的だ。
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