*
君になりたくないから、髪を切りました
僕は僕だけのものの持ち合わせは無いけれど
君にだけはなりたくなかったのです
見ていると犯してしまいたくなるのです
きっとみっともなく善がってくれる君を
そのまま文字通り殺したくなるのです
僕は僕の代わりを探しているだけで
危害を加えたいだなんて考えてはいません
しあわせで、おだやかに、生きて欲しいと
そう在ることが正しいとすら感じています
埃を被った写真帖を引っ張り出して
過去を振り返ることで得る安心も
君の影に全部書き換えられていくのです
僕は、君にはなりたくないのです
だから近寄らないで欲しいと
ずっとお願いをしているのに
ああ、やめて、違うよ
僕はそうじゃないの
つまらないからやめて欲しい
0コメント