視覚的な澄み方
少しずつ、少しずつ
自分を取り戻してはカランと鳴る
澄んだ音で誘惑してくる、やつが
わたしには妙に恨めしくて
求められるべきは常でしょう
どうかかたまりも、くゆりも
評価しないで頂きたい
取り残された恩恵を
いつだって栄養にして目を閉じて
うごくことを、うごかすことを
その音だけの世界の中で
ゆるり、ゆるり
どこか遠くへ
わたしは遠くへは行けないものか?
きつく発音するこころの音も
明日にはもう忘れてしまうのだ
わたしは澄んでは居たいけれど
誘惑にはいつも嫌な思いをして
つめたいつめたい心臓は
いつかは止まってくれるのか
完全、を騙るならきっと生き物で
尊いと呼ぶ、君から奪って
それでさえ
あまりこびりついたままにしておくと
もう擦っても擦っても取れないから
ふだんからこまめに、落とすんだよ
じゃあ君が落としてよって
言っちゃうのは我慢するけど
そう言うなら君が
払い落としてくれればいいのに
思いを馳せる
いちごも潰せないような唇に
足りない区分と内臓に
その、体表と潤滑に
早く飲み干してしまいたい
感情的になりたくない
認めてしまえば楽になることを
見えないふりをしていたい
ああこんなときに限って
一面の曇り空が愛おしいんだ
こんなにも
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