2021.03.28 12:03泣き虫の話また泣かせてしまった。こうなっては、暫くは手が付けられない。四方八方手を尽くしてはみたが、これといって有効な手段が無い。どれもその場凌ぎなのである。初めは、甘いものを与えていた。チョコレート、ケーキ、クッキー……与え始めて少しの間は、それで泣き止んでくれていた。しかし時間が経つにつれ、どうやら飽きてしまったらしい。いまは与えたところで見向...
2021.01.02 23:52呼吸肺が膨らんだり縮んだりするのをいまにも僕を潰しそうな天井が見ている気が付いたら木目だったいいや、ずっとそうだったのかもしれない味のない水槽、僕は重力には敵わないからいっそひとおもいに潰して呉れ、とも薄ら寒い視界は僕の叶う限り平面で折り目をつけすぎた折り紙みたいにとにかくとにかく存在だけを示そうとする並べて、積んで、誰かの心の穴までたぶん、...
2020.12.28 15:20真水染み付いた匂いが取れなくて必死に、必死に手を洗った馴染んでしまう自分が怖くて何回も、何回も泣きながら洗った心許ない蛍光灯のあかりが視界の隅でチラチラと喘いでいて一緒に泣いてくれてるみたいだった少し、許されているような気がした君を好きで居られる僕が欲しかった君を大事に扱える僕が欲しかったよ変わらなくても、変えられなくてもぜんぶにいいよって言...
2020.12.20 13:47ハリボテ夢の中ですら停止した見上げた先の君は優しい笑顔をしていてああ違うんだなって思ってしまったハリボテだと、感じてしまったんだ自分の物語の冒頭には何と書かれているのだろう御守りみたいに縋るために下がり続ける冷たくて鈍くて重たい鎖の説明だろうかそれとも歩くたびに増えていく深い足跡に対する不恰好な弁解と虚勢だろうか一見可愛くて器用な後ろ姿をずっと見...
2020.12.04 09:53混濁していたいの意識を限りなく自分に向けて君を捕まえて目を見て言っても囁きは囁きのまま風に消される害さないから、安心してよそんな顔で僕を見ないでよはじまりを唱える君をずっと横目で見ていたんだこっちを向いて欲しかったこっちに向けられて欲しかった安全装置が付けたままでは不満だから乱暴でも追い払ってしまいたかった借りる先なんてどうでも良かった幻想に踊らされる時...
2020.11.29 22:40憐情ひどい憐情だ、此れは縁でうずくまる子どもを落とさないように注意深く複数の にんげん おとな の定義が囲う揺れる手落ちればもちろん、真っ逆さま重力に従う身体こころは身体に宿るのだから身体がたとえ残ったとしても身体をたとえ開いて覗いても納得しない囲うのだ取り逃がしてはならないと囲うのだ落としてしまってはかなわないと囲うのだそれがおのれの為だと...
2020.11.28 06:11視覚的な澄み方少しずつ、少しずつ自分を取り戻してはカランと鳴る澄んだ音で誘惑してくる、やつがわたしには妙に恨めしくて求められるべきは常でしょうどうかかたまりも、くゆりも評価しないで頂きたい取り残された恩恵をいつだって栄養にして目を閉じてうごくことを、うごかすことをその音だけの世界の中でゆるり、ゆるりどこか遠くへわたしは遠くへは行けないものか?きつく発音...
2020.11.24 23:52にんげん様沁みるのはごめんだ生きている証だの心の痛みの具現化だの血を見ると安心するだのと言われてもとにかく、沁みるのはごめんなんだ楽にはならない気持ちよくもならない証ではない具現化でもない安心も得られないただ扱いやすくただわかりやすくただ振り返りやすく不快感を緩和する作業脳内麻薬を使ったお遊び程度で競う餓鬼のかけっこ周囲のものをべたべたにしてよりに...
2020.11.23 14:12不毛咲いて彩る花の名を身代わりにしてしくしくと不毛な夜明けを待っている不毛なひかりを待っているぼくはぼくぼくはぼく言いなりの蚕と路上の隅で不確かな化学と少しの嘘でしあわせを願う君を看取ってる在りたい君をぼくはぼくはぼくは成らない君に、失くすのだありがとうと罪を吐いては有り/難いことに身を投げるたぶん、これは、くやしいのだとわかりたくはなかった...
2020.11.23 13:42全部季節のせいにしたい埋もれてしまった象徴を巡る季節のせいにします持つゆえに持てぬわたしの災いを見えない季節のせいにするのです魚眼のレンズでかたどるようにわたしは支配を受けていますしちてんばっとう、たとえ起きても次の罠には気が付かずわたしはわたし以外のせせらぎにひどくひどく怯えていますつねに望まぬ欠落をたにんに露呈するさまを支配と呼ばすなんと呼ぶ?手の届く範囲...
2020.11.22 19:50答え合わせ君は答え合わせ、楽しくないのかなあ僕は答え合わせ、楽しいんだけどなあ白い紙に黒い鉛筆で書かれた答案をひとつひとつ読み上げていくのも順番に赤いペンで印を付けるのも楽しいと思うから僕はやりたいのだけれど残念だな。こっちを向いてくれないままだこっちを少しも見ないまま僕の手を引っ張って走る君の後ろ姿を僕はどんな気持ちで眺めれば良いのだろう悲しめば...
2020.11.22 08:02見えない煙ふう、とひとつ、息を吐いてその行く末を見守る朝焼けの中眩しさに少し目を細めつつその眩しさの前に愛しさが勝る僕が埋葬されるときは屈葬か、あるいは散骨が良いなあとぼんやりしつつ死んだあとのことにまで頭を使うなんて難儀な生物だな、僕らは叩き落とされる前から知っていたらそれでも本能が勝っただろうか取り出される前から理解できていたらそれでも此処を選...