無題
飛び降り自殺する夢を見た
起きて、現実だったらどんなに良かったかと考えた
口にするのは簡単だ、こんな、くだらないもの
消えて無くなって仕舞えばいいのにと
自分から出てくる言葉の陳腐な響きに
思わず口が緩んでしまう
致し方ない、自分は人間にしか成れないのだから
身支度を整える間に目に映る世界も
切り取られたほんの、ほんの一部でしかないことに
また嫌気がさして目を閉じる
五感を塞いで無いように見せかけたい
出来ない、完全には
他の視神経を持つものたちからは
自分は一体どのように映っているのだろう
乗っ取ってそれを体感できればいいのに
そうすればこの恐怖が少しは薄れるかもしれない
根拠はないけれど、そんな気がする
世の雑踏を掻き分けてさも人間かのように
まるで自分はこの一部に馴染んでいますよと言わんばかりに
今日もまたヒトの振りをして、歩く
見つかるのが怖い
違うことは怖いことだ
見つからないのは怖い
違わないのは怖いことだ
前向きな言葉を選んで摂取しても
自分に影を落とす何者かに負けてしまう
そうはなれない、そこにはいけない
ああここに居るひとたちは
人間の皮をどうやってそんなにも上手に被っているのか
自分にはうまくできないことを
当たり前の如く、やってしまう
切り取られた情緒や浮遊感は
自分の裁量を以って常に押し込められているのに
まただ
また何かがダメになってしまう
このもがく様が人間らしいというのなら
そんな気持ち悪いもの自分では許容できない
他人から受ける軽はずみな言葉にも
笑って受け答えするしかない
きもちわるい、きぶんがよくない
息苦しさを隠していないと
人間の振りすらうまくできない自分に恥じ入る
決め付けているのも自分で
苦しんでいるもの自分で
脳は働いているから理解は出来ているのに
それにも関わらずどうしてここから動けないのか
自責で、いつにも増して地面を見つめてしまう
倒れ込んで仕舞えば誰かの関心が引けるだろうか
関心を引きたいのかは、甚だ疑問なところだが
夕焼けはこんなにも心に響かないものだっただろうか
視界に入るものは全て白黒で
視界から外れたら途端に色を取り戻す
ああ、怖いんだな
自分の範疇にないものが、自分にはとても恐ろしい
それをうまく表現できないことも
ここに立っている自分が何者なのかわからなくなることも
怖くて、逃げてしまっている
妙なところにばかり働く危機管理能力は
また恨めしい要因にしかならない
たとえば、周りの人間のようなものの音に
耳を傾けて、それの真似を上手くできれば
もっと違っていた?
有難いと思いなさいと
感謝しなさいと言うけれど
まだしばらく出来そうにありません
せめて
夢の中でくらい、もう一度死にたい
そのまま現実からも抹消されたなら
最高なのに
0コメント