にこにこして読んで欲しい
君を見ていると出てくる僕の感嘆詞を
呑み込む義務が君にはあるよね
「これは挑発ではないよ」
必要なのはいつだって君だけの意思
遅くても、下手でも構わない
君がそれを溢さず呑み込む様子を
僕はきっと微笑ましく眺めるのだろう
ああ愛しい、愛おしいねと
愛を吐く口で終わりを唆す(そそのかす)のも
その逆も、もっと俗世的なことも
そう僕は俗世からは離れられない
どれだけのことがらを学んでも
どれだけのことがらを排しても
どれだけのことがらを許容しても
こんなものからは逃げられない
自分から吐き出されたものを
自分が吐き出したが故に嘆く人たちと
こうして君に語りかける僕と
なんにも、なんにも、なんにも違わない
同じ混沌を抱えているのに
まるで個々にそれに差があるかのような
中身は全部同じなのに
だからこそ僕は君が好きなのに
君は僕のこと好きじゃないかも知れないけれど
こんな話の裏側で、溜息を吐く君のことが
僕はわりと好きだよ
言葉なんてものは重ねれば重ねるほど軽くなる
だからこそ重ねるんじゃないか
勘違いしてはいけないよ、何度でも提示するけれど
「これは挑発ではないんだよ」
取り込む気はないんだ
もちろん口説いている気もない
君からどう見えるかは知らない
僕は君の視界は得られないから
ちゃんと口に出して教えて欲しい
きっと理解し合えるまで話をしようね
時間は惜しくない
労力も、体力も、気力も
そんなものよりもずっとずっと
僕は君のことが見ていられないことが惜しい
何もかもが紙一重で入れ替わるここで
僕は敢えて君に懺悔をするよ
聖職者でもなんでもない君に
他の誰でも、何にでもなく
何者でもなく、君で在る君に
僕は存在を赦されたい
頭の中で機嫌良く鳴る音が
僕のことをまた侵食しようとするから
それを懺悔して吐き出すんだ
その僕の我が儘を、身勝手な逃げを
すべて君に押し付けてしまいたいんだよ
たびたび迷子になっているけれど
ああ、君はそっちではないよね
たびたび迷子になる君も可愛いけれど
なるべく早く帰っておいで
在るべき場所の判断を、できるだけ正確に
らしくないよねえ
僕は君に対しては過保護なのかも知れない
他の何を排しても君には立っていて欲しいと感じるよ
君を定義付けるのは僕で在りたいし
それは君から課された僕の義務だ
きっと
君は自分を尽くして僕のことを嫌がるけれど
可哀想だね、僕は君のことが好きだから
その逆上すらも好きになるんだ
可哀想だね、可哀想な君も好きだよ
終わりを指し示すのが不興なら
自作自演の共有と、揺蕩う君の精神と、
それに支配されたがる莫迦な僕と
刷り込まれた感情はもう消えない
また思い出しては苛まれるね
ときどき目を逸らすべきなのかと
考えることもあるけれど
惹きつけられるのは君の所為だよ
僕じゃない
そこに僕は居ないよね
居ないことを責めてるんじゃないんだよ
取り込みたいんじゃない
口説きたいんじゃない
何もかもを、全部
有るようにも無いようにも扱って
きっと僕だけに開示して来てね
好きだから拾ってしまう
体性神経だけでなく自律神経も
軽率に口からこぼすその滑稽も
つい、拾ってしまって不愉快になる
でもその不愉快すらも好きだと感じるから
君が君で君に君で在る限り
僕は穏やかな気持ちで君のことを見ているよ
よく隠す口元も君には見せるね
だから僕に好きで居させてね
取り込みたいわけじゃない
口説いてるわけじゃない
勿論、挑発だなんてとんでもない
だって僕は愛されたいわけじゃないんだから
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